高校数学B 「統計的な推測」 第1章|確率変数と確率分布をやさしく解説

統計的な推測は、高校数学Bの中でも、共通テストで得点を伸ばすうえで非常に重要な単元です。

このページでは、「確率変数」や「確率分布」の基本を、例題を通してわかりやすく解説します。

「確率変数って何?」「確率分布ってどうやって作るの?」という疑問を持つ高校生・受験生の方は、ぜひここで基礎を固めて、共通テスト数学のスコアアップにつなげましょう!

※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。

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確率変数、確率分布とは簡単に

  • 確率変数:起こり得る結果に、数を対応させたもの(例:サイコロの目)
  • 確率:その結果が起こる「見込み」の強さを数で表したもの
  • 確率分布:その「起こる可能性」を全体として一覧にしたもの(表でまとめる!)

まずはそれぞれの用語について、ざっくりした認識を持ってください。

具体例から学ぶ

続いて、サイコロ・コイン・じゃんけんといった具体例において、それぞれの用語が何を示すのか見ていきましょう!

例1)サイコロ

サイコロを1回ふったとき、出る目をXとします。 このXは「どんな数値をとるかわからないけど、結果が数字で決まる」という性質をもっていて、これが確率変数です。

サイコロの出目に偏りはないとします。
この場合、それぞれの目が出る確率は1/6となりますね。

X123456
P1/61/61/61/61/61/61

それぞれの出目(確率変数)と、それが起こる確率をまとめたものが確率分布

(今回のようにすべての結果の確率が等しい分布を 一様分布といいます。)

例2)コイン

コインを1回投げたとき、表を1、裏を0とすれば、確率変数Xは {0, 1} をとります。

それぞれが起こる確率は1/2

X01
P1/21/21

それぞれの確率変数と、それが起こる確率をまとめたものが確率分布

(コインの表裏のように2つの結果しかない場合の分布をベルヌーイ分布といいます。)

例3)じゃんけん

例3は応用編です。ちょっと難しいですが見ていきましょう。

じゃんけんの場合は確率変数の取り方がいろいろ考えられますね。

今回は3人でじゃんけんして、勝つ人数を確率変数としましょう。

X012
P9/279/279/271

「じゃんけんで〇〇人が勝つ確率」は数学Aの確率の単元で単元で勉強しましたね。

数学Bの統計的な推測では、それぞれの確率変数をとる確率を自力で求められることが前提となります。

確率を求めて、このように確率分布をまとめる。これでじゃんけんの例もクリア。

演習

ここでは、実際の演習を通して、問題の解き方・手順について見ていきましょう。

箱の中に白い球が3つ、赤い球が2つ入っている。
この箱から同時に球を3つ取り出すとき、出る赤玉の数をXとする。
このとき、確率変数Xの確率分布を求めよ。

解法

まずはXの取りうる値から考えましょう。
同時に球を3つ取り出すんだから、Xは1, 2, 3 かな…

と思った方! これは×です。

箱の中に入っている赤玉は2つ。なので、X=3 は取れません。
さらに、取り出した3つの球がすべて白であることもある。つまりX=0 は取れます。

よってXの取りうる値は0, 1, 2 です。


次に表を作ります。確率を考える前に先に表を作ってしまうことをおすすめします。

X012
P

そうしたら、表を埋めるために確率について考えます

ここは数学A確率の考え方を活用!

まずは分母から。

5個から3個を取り出す → 5C3 = 10ですね。

つぎに分子。これはXの値によって変わります。

  • X=0 赤玉2個のうち0、白玉3個のうち3 → 1
  • X=1 赤玉2個のうち1、白玉3個のうち2 → 2C1 × 3C2 = 6
  • X=2 赤玉2個のうち2、白玉3個のうち1 → 1 × 3C1 = 3

これらを表に書き込むと…

X012
P1/106/103/101

これでクリア。

確率の値は約分できる場合もそのままにして、各値の分母を同じにしてください。
この先、期待値や分散を考えるときに役立ちます。


  • 確率変数を考える
  • 表の枠を作る
  • 確率を計算する
  • 表に書き込む

今回は4つのステップで問題を解きました。
この手順をしっかりと覚えて、各ステップで行うべきことをこなしましょう。

まずは一つ一つの作業を切って丁寧に練習することをおすすめします。

問題を解く際に「あぁ、結局毎回同じことをしているんだな」と思えるようになればこの単元はばっちりです!

まとめ

確率変数、確率分布について具体例も交えてチェックしていきました!

それぞれの用語のイメージは必ずつかんでおきましょう。

それができたら、今度は確率をきちんと求められるかの確認。場合によってはここでいったん数学Aの確率を復習してきましょう!

用語の理解、確率の求め方が大丈夫な方は、確率分布のまとめ方を確認。

そして演習を通して自力で確率分布をまとめる練習をしましょう。

今後あちこちの問題で、確率分布を自分でまとめることが必須になるので、このタイミングで確率分布のまとめ方は完璧にしておきましょう。

次回は「期待値と分散・標準偏差」について書きます。

確率変数・分布の確認テスト|この章の理解はバッチリ?

以下のポイントが自力で説明・再現できれば、この章はほぼマスターです!

  • 確率変数とは何か?サイコロ・コイン・じゃんけんの例で説明できるか
  • 確率分布とは?表の構造や意味を理解しているか
  • 自分で表をつくり、確率を計算できるか

「ちょっと怪しいかも…」と思った箇所があれば、上に戻って再チェックしてみましょう!


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