高校数学B「統計的な推測」確率変数の変換が必要な理由|やさしく解説

確率変数 X を確率変数Y( = aX + b) に置き換えて考える。

この手順に違和感を感じる学生は、毎年少なくありません。

「なぜわざわざ変換なんてするのだろう?」

「問われているものをそのまま確率変数と置けば、
わざわざ確率変数を置き換える手間を省けるんじゃないか…」

このような疑問を解決することがこの記事の狙いです。

この記事では、確率変数を用いて考える問題について、

  • 確率変数の変換をしない(直接算出する)
  • 確率変数の変換をする

これら2つのアプローチで解説をします。

実際の問題演習を通して、なぜ確率変数の変換が必要なのかを体験してください!

確率変数 Y = aX + b の期待値・分散・標準偏差の公式

確率変数Xに対して、Y = aX + b と変換したとき、Y の期待値と分散は以下のように求められます。

確率変数の変換+公式を用いて解くアプローチと
変換を経由せずに直接、求めたいものを確率変数で置くアプローチ。

それぞれの解法がどのようになるのか、
実際の問題演習からチェックしましょう!

例題1:確率変数を用いて賞金の期待値を考える

コインを3枚投げて、表が出た枚数×100円、裏が出た枚数×10円だけ賞金がもらえるとする。
この時の賞金の期待値を求めよ。

賞金を確率変数X とする(変換をしない)

まずは変換を用いない解法から。

賞金を確率変数 X とします。

確率変数の取りうる値を考える

コインは3枚なので、表の枚数は
0枚・1枚・2枚・3枚 の4通りです。

それぞれについて、賞金を計算します。

表の枚数裏の枚数賞金
030×100+3×10=300×100 + 3×10 = 30
121×100+2×10=1201×100 + 2×10 = 120
212×100+1×10=2102×100 + 1×10 = 210
303×100+0×10=3003×100 + 0×10 = 300

つまり X={30,120,210,300}X=\{ 30, 120, 210, 300 \}

確率分布を表にまとめる

金額ではなく、表のコインの枚数をもとに確率を計算します。

XX3030120120210210300300
PP18\dfrac{1}{8}38\dfrac{3}{8}38\dfrac{3}{8}18\dfrac{1}{8}11

期待値を計算をする

E(X)=18(30×1+120×3+210×3+300×1)E(X)=\dfrac{1}{8} (30 \times1​+120 \times3​+210 \times3​+300 \times1)​

=18(30+360+630+300)=\dfrac{1}{8} (30 ​+360 ​+630 ​+300 )​

=13208=\dfrac{1320}{8}

=165=165

答え:165円

表のコインの枚数を確率変数X とする(変換をする)

次は変換を用いる解法。

ここでは直接金額を取るのではなく、
金額を決める要素である「表のコインの枚数」を
確率変数X とします。

確率変数の取りうる値を考える

投げるコインは3枚なので

X={0,1,2,3}X=\{ 0, 1, 2, 3 \}

確率分布を表にまとめる

表のコインの枚数をもとに確率を計算します。

XX00112233
PP18\dfrac{1}{8}38\dfrac{3}{8}38\dfrac{3}{8}18\dfrac{1}{8}11

期待値を計算をする

E(X)=18(0×1+1×3+2×3+3×1)E(X)=\dfrac{1}{8} (0 \times1​+1 \times3​+2 \times3​+3 \times1)​

=18(0+3+6+3)=\dfrac{1}{8} (0 ​+3 ​+6 ​+3 )​

=128=\dfrac{12}{8}

=32=\dfrac{3}{2}

変換の公式を用いる

賞金を確率変数Y とします。

表のコインの枚数をX とすると、裏のコインの枚数は(3 – X)
表のコイン × 100円 + 裏のコイン × 10円 が賞金なので

Y=100×X+10×(3X)Y=100\times X + 10 \times (3-X)

これを整理すると
Y=90X+30Y=90X + 30

確率変数変換の公式
E[Y]=aE[X]+bE[Y]=aE[X] + b
を用いると

E[Y]=90×32+30E[Y]=90 \times \frac{3}{2} + 30

=165=165

答え:165円

解法の比較

確率変数を変換しない解法は、
確率変数の宣言は簡単でした。

問われているものをそのまま宣言するだけなので。

しかし、確率変数の取り得る値のチェックや、その後の計算は複雑。

一方で、確率変数の変換をする解法は、
確率変数の宣言がやや難しいですね。

金額を決定している本質的な要素を自分で見抜く必要があります。

ただし、いったんそこさえクリアできれば後の計算はかなり単純。

変換をしない … 確率変数の宣言は簡単、その他処理は複雑
変換をする … 確率変数の宣言は難しい、その他処理は単純

この段階では、まだ「変換を用いる必要がある」とは言い切れません。。

さらにもう一題、例題を見てみましょう。

例題2:確率変数を用いて賞金の期待値を考える(金額設定を変更)

コインを3枚投げて、表が出た枚数×120円、裏が出た枚数×15円だけ賞金がもらえるとする。
この時の賞金の期待値を求めよ。

例題1と微妙に金額設定が変わった問題です。

賞金を確率変数X とする(変換をしない)

まずは確率変数の取り得る値から

表の枚数裏の枚数賞金
030×120+3×15=450 \times 120 + 3 \times 15=45
121×120+2×15=1501 \times 120 + 2 \times 15=150
212×120+1×15=2552 \times 120 + 1 \times 15=255
303×120+0×15=3603 \times 120 + 0 \times 15=360

ここの処理がかなり面倒ですね。

つぎに確率分布を表でまとめて、
最後に期待値を計算する流れですが…

ここも先ほどと似たような処理をすべてやり直さないといけない。

この解法は設定の変更に弱いことが体感してもらえれば十分です。
もう一つの解法の方へ移りましょう。

表のコインの枚数を確率変数X とする(変換をする)

まずは表のコインの枚数の期待値を考えることからですが、
これはすでに例題1で行いました。

E[X]=32E[X]=\dfrac{3}{2} を求めることろまではカットが可能です

残るは変換の処理。

金額を確率変数Y とすると

Y=120×X+15×(3X)Y=120\times X + 15 \times (3-X)

これを整理すると
Y=105X+45Y=105X + 45

公式を用いて期待値を求めると

E[Y]=105×32+45E[Y]=105 \times \frac{3}{2} + 45
=202.5=202.5

答え:202.5円

解法の比較

変換をしない … 設定が変わったらやり直し
変換をする … 設定が変わっても使いまわせる

設定の変更に強いのは明らかに「変換をする解法」ですね。

確率変数の変換をする・しない 比較まとめ

二つの例題をそれぞれ

変換をしない解法
変換をする解法

で見てきました。

それぞれの解法の特徴を比較しましょう。

要素\解法変換なし変換あり
確率変数の宣言簡単難しい
確率分布を表にまとめる複雑単純
期待値の計算少し複雑単純
変換の処理不要必要
設定が変わった場合やり直し大部分はリユース可

定期テストや共通テストは時間との闘いです。

本質を見抜くことは難しいですが、
処理時間の短縮のためにも確率変数の変換をおすすめします。

また、もしも途中で設定が変わった場合の対応を考えても、
やはり確率変数の変換がオススメです。

定期テスト・共通テストで得点を伸ばしたい方へ

ここまでで「なぜ確率変数の変換が必要なのか」を解説しました。

こまでは「なぜ変換が必要か」を扱いました。
次の記事では「どうやって変換するか」を体系的に整理します。

「第3章|確率変数の変換 Y = aX + b の期待値・分散」では、
今回扱わなかった分散の処理方法、別パターンの例題も用意しています!

高校数学B「統計的な推測」を一から学びたい方は、
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