高校数学B「統計的な推測」 第5章:正規分布と標準正規分布表 についてやさしく解説

正規分布の式は見た目が難しそうですが、使い方を覚えれば定期テストや共通テストでも得点源になります。
この記事では、正規分布の基本から標準正規分布表の活用法まで、例題や演習題を交えてわかりやすく解説します。
- 「正規分布って何?」
- 「標準正規分布表って何?」
- 「実際にどうやって問題を解くの?」
という疑問を持つ高校生・受験生の方は、ぜひここで基礎を固めて、共通テスト数学のスコアアップにつなげましょう!
※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。
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正規分布とは?

正規分布とは、平均値のまわりにデータが集まり、左右対称の「山なりの形」になる分布のことです。
平均から離れるほどデータが少なくなるのが特徴です。
特に、平均が0、分散が1(標準偏差も1)のものを標準正規分布と呼びます。
この記事では、まずこの標準正規分布について解説を行います。
標準正規分布の公式

この式は、平均0・分散1の標準正規分布の確率密度関数を表しています。
このときX は正規分布N ( 0, 1 )に従う、と表すこともあるので覚えておきましょう。
「こんな複雑な公式、覚えられない…」と思ったそこのあなた。
安心してください!
定期テストや共通テストでは、この式を直接計算することはほとんどなく、
グラフの読み取りや標準正規分布表を使った確率の計算が中心です。
標準正規分布のグラフ

標準正規分布のグラフの形
ベル型(釣鐘型)のグラフで、平均値を中心に左右対称に分布します。平均から離れるほど確率が小さくなる特徴があります。

このグラフは平均値が0, 標準偏差が1 の標準正規分布です。
正規分布のグラフはどう読む?
正規分布のグラフは、平均0を中心に左右対称の山型をしています。
横軸は z値(z-score) といい、「平均からどれだけ離れているか(標準偏差の単位)」を表します。
縦軸は 確率密度(そのあたりに値が現れやすい度合い)を示します。
z値が大きくなるほど確率(その範囲の面積)は小さくなります。
ここではz値についてもう少し詳しく見ていきましょう。
例:
- z=0 … 平均と同じ値
- z=1 … 平均より標準偏差1つ分大きい値
- z=2 … 平均より標準偏差2つ分大きい値
68–95–99.7ルール
また、統計では特に z=1(約68%)、z=2(約95%) がよく使われます。
これは「平均から1標準偏差の範囲に約68%、2標準偏差の範囲に約95%のデータが含まれる」という経験則(68–95–99.7ルール)によるものです。
つまり、z=1やz=2は「どのくらいのデータが中心に集中しているか」を判断するための目安としてよく用いられます。

標準正規分布の場合
ある値が-1 以上 1 以下である確率が約68%
ある値が-2 以上 2 以下である確率が約95%
と考えることができます。
標準正規分布表って何?

ここまでで、標準正規分布の形と意味がわかりました。
では、特定の範囲の確率を実際に求めたいときはどうすればよいでしょうか?
たとえば:
- z値 が 0 以上 0.5 以下を取る確率は?
- 上位15%に入るには、z値 はいくつ以上?
そんなときに使うのが標準正規分布表です。
標準正規分布表には2つのタイプがある
- タイプ①:0以上z以下の確率を示すもの 高校数学・共通テストで使用
- タイプ②:z以上右端(∞)までの確率を示すもの 統計学・実務統計などで使用
高校の教科書や共通テストでは、一般的にタイプ①(0以上z以下)を使います。この記事でもこのタイプを用います。

表の読み取り例
例: z = 0.35 のとき
表から 0.1368 と読み取れます。
P( 0 ≦ z ≦ 0.35 ) = 0.1368
すなわち「zが0以上0.35以下の範囲に入る確率は約13.7%」ということが読み取れます。
この表をうまく活用できるようになることが、この記事での目標です。
例題・演習題を通して、実際に出題される問題とその解法を確認しましょう。
例題:確率変数・標準正規分布表について理解を深めよう

(※以下の問題では、確率変数 X は標準正規分布 に従うものとします。)
確率を求める場合
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
P( -0.50 ≦ Z ≦ 0.50 ) について求めなさい。
問題をかんたんに書き直すと「標準正規分布において、ある値が-0.50 以上0.50 以下である確率を求めなさい」ということです。

z = 0.50 の数値を見てみましょう。
表から0.1915 と読み取れますね。
つまりP( 0 ≦ Z ≦ 0.50 ) = 0.1915
ある値が0以上0.50以下である確率は約19.2%である。ということです。
表にあるz値はどれも0以上の数ですね。
ある値が-5.0 以上0 以下である確率はどのように考えればよいでしょうか…
正規分布のグラフは平均を軸として左右対称でしたね。
ということは、P( -0.50 ≦ Z ≦ 0 ) = P( 0 ≦ Z ≦ 0.50 )
ある値が0以上0.50 以下である確率と、-5.0 以上0 以下である確率は等しい。ということです。
P( -0.50 ≦ Z ≦ 0.50 )
= 2P( 0 ≦ Z ≦ 0.50 )
= 2 × 0.1915
= 0.3830
ある値が-0.50 以上0.50 以下である確率は約38.3% と分かります。
値を求める場合
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
値が低い方から20%の中に入るのは、いくつ以下の数値かもとめなさい。
問題をかんたんに書き直すと「標準正規分布において、下位20%に入るZ はいくつ以下か求めなさい」ということ。

正規分布が左右対称であることに着目すると。
下位20%を取る確率と上位20% を取る確率は等しいはず。
まずは「上位20%」にあたるzを求め、符号を反転すればOKです。
表の値は、0以上z以下をとる確率でしたね。
上位20% にあたるz値は累積確率が0.30 となる値を探せばオーケー。
表の値からf(z) が0.3000 に最も近いz を探しましょう。
f(0.84) = 0.2995 が0.3000 に最も近いですね。
値が高い方から20%の中に入るのは、0.84以上ということ。
正規分布が左右対称であることを考慮すると
値が低い方から20%の中に入るのは、-0.84以下であるとわかります。
どちらの例題のパターンも解けるようになりましょう。
どちらも解法が把握出来たら、演習題を自力で解けるかに挑戦!
演習

(※以下の問題では、確率変数 X は標準正規分布 に従うものとします。)
確率を求める場合
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
P( -1.0 ≦ Z ≦ -0.50 ) について求めなさい。

標準正規分布表の値が活用できるように処理を行います。
P( -1.0 ≦ Z ≦ -0.50 )
= P( 0.50 ≦ Z ≦ 1.0 )
= P( 0 ≦ Z ≦ 1.0 ) – P( 0 ≦ Z ≦0.50 )
つぎにぞれぞの値を表から探す。
f(0.50)=0.1915
f(1.00) = 0.3413
求める確率は、0.1915 – 0.3413 = 0.1498
つまり約15.0%
値を求める場合
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
値が低い方から40%の中に入るのは、いくつ以下の数値かもとめなさい。

値が低い方から40%に入る確率 = 値が高い方から40%に入る確率
f(z) が0.1000 に最も近いz を表から探します。
f(0.25) = 0.0987 が、0.1000 に最も近いですね。
つまり、値が高い方から40%の中に入るのは、0.25以上ということ。
よって、値が低い方から40%の中に入るのは、0.25以下と分かります。
標準正規分布表の活用はここから先の単元でも頻出なので、スムーズに解けるまで繰り返し練習をしましょう。
まとめ
- 正規分布とはどのようなものか
- 標準正規分布表の活用方法
について解説を行いました。
正規分布表の活用をスムーズにこなすには、ある程度の量の問題演習が必要です。
自分の持っている問題集も解いてみて、さらに理解を深めてください。
次章では、「平均が0, 分散が1 ではない正規分布」を標準化して、標準正規分布で扱う方法を学びます。
正規分布と標準正規分布表の確認テスト|この章の理解はバッチリ?
以下のポイントが自力で説明・再現できれば、この章はほぼマスターです!
- 正規分布とはどのような分布か
- z値とは何か
- 標準正規分布表とは何か
- 標準正規分布表の活用法
「ちょっと怪しいかも…」と思った箇所があれば、上に戻って再チェックしてみましょう!
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