高校数学B「統計的な推測」 第5-2章|正規分布~確率の考え方|正規分布表を使いこなす!

「正規分布ではどうやって確率を計算するの?」
これまで順調に学習を進めた学生にとっても、
正規分布における確率の考え方・求め方はなかなか難しいところです。
正規分布の確率の考え方が難しい原因は二つあります。
それは、
「連続型確率変数における確率の考え方」と「標準正規分布表の使い方」をしっかりとつかみ切れていないことです。
この記事では正規分布における確率の考え方・求め方について例題を用いてわかりやすく解説をします。
- 「正規分布の確率ってどう考える?」
- 「標準正規分布表って何?」
- 「実際にどうやって問題を解くの?」
という疑問を持つ高校生・受験生の方は、ぜひここで基礎を固めて、
共通テスト数学の得点アップにつなげましょう!
正規分布とは?

正規分布とは、連続型確率分布の一種です。
平均値のまわりにデータが集まり、左右対称の「山なりの形」になる分布をとることが特徴です。
詳しくは前回の記事をチェックしてください!
「高校数学B「統計的な推測」 正規分布~正規分布って何?~|グラフと平均・分散、標準正規分布を理解しよう!」
正規分布のグラフと平均・分散について詳しく説明しています。
正規分布では「面積」が確率になる
正規分布の確率を考えるうえで、まず理解しておきたいのが
「正規分布のグラフでは、曲線の下の面積が確率を表している」ということです。
※これは正規分布だけでなく連続型確率分布に共通する考え方です。
連続型確率分布では「z = 0.5 になる確率」 のようにある1つの値になる確率を考えるのではなく、
「-0.5≦z≦0.5 になる確率」 のようにある範囲に入る確率を考えます。
そしてこのとき、の値とグラフにおける以下の面積が一致します。

※ここからは分かりやすさのために標準正規分布を前提に話を進めます
ここで注意したいのが、グラフの縦軸です。
縦軸は「確率」そのものではなく、確率密度を表しています。
そのためグラフの高さ=確率ではありません。
グラフのある範囲の面積=その範囲に入る確率
であれば、zが-0.5以上0.5以下の範囲の面積を求めればよいということです。
この「面積=確率」という考え方が、これから正規分布の問題を解くときの基本になります。
面積の計算は積分が必要?
グラフの面積というとパッと思い浮かぶものが積分ですよね。
正規分布の確率とグラフの面積が一致するのなら「確率を求めるためには積分をしないといけないの?」
と不安に感じるかもしれません。
しかし、安心してください。
高校数学においては、正規分布の確率を求めるために積分を計算する必要はありません。
かわりに標準正規分布表を利用します。
標準正規分布表って何?|正規分布における必須の武器!

正規分布において、確率を求めるため用いるものが標準正規分布表です。
※ここからは分かりやすさのために、標準正規分布を前提に話を進めます
標準正規分布表とは、
標準正規分布(平均値が0,標準偏差が1)における特定の範囲の面積を表にまとめたものです。

この記事ではz=0から特定の値までの面積(確率)の値を一覧にしたものを用います。
つまりこの表を使えば、積分を計算することなくグラフの面積、
すなわち特定の確率を計算することができるということです!
正規分布表の読み方
表を読む練習として、z値 が 0 以上 0.5 以下を取る確率 P(0≦z≦0.5)を調べてみましょう。

標準正規分布表の各マスの値が0以上z以下の確率を示すものなので、
z = 0.50 のときの値を探します。

6行1列目のマスの0.1915という値。
これがz値が 0 以上 0.5 以下を取る確率です。
つまり、 ということ。

このように表を利用することで、求めたい確率について簡単に計算することができます!
例題:確率変数・標準正規分布表について理解を深めよう

※以下の問題では、確率変数 X は標準正規分布 に従うものとします。
※標準確率分布表は以下のものを使います。

z値の範囲が負の数を含むとき
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
P( -0.50 ≦ Z ≦ 0.50 ) について求めなさい。

まずはグラフを書いて範囲を斜線でマークしましょう。
今回のポイントは、zの範囲に負の数が入っているところ。
標準正規分布表から読み取れるものは、が0以上z以下の確率でしたね。
0 ≦ z ≦0.5 の確率は表から読み取ることができます。

先ほどの練習と同様に、です。
残りの -0.5 ≦ z ≦0 の確率はどのように求めればよいのでしょうか…
ここで利用したいのが、
正規分布は平均値を軸として左右対称であるということ。
左右対称ということは、当然その部分同士の面積は等しい。
面積が等しいということは、それらの確率も等しいです。
標準正規分布においては、 が成立するということです。
つまり、
以上より、 と分かってクリアです。
確率からz値を求めるとき
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
値が低い方から20%の中に入るのは、いくつ以下の数値か求めなさい。

グラフを書いて気づいてほしいことがふたつ。
まずは今回もz の値が負の数になりそうだということ。
これはグラフの対称性を用いれば解決できますね。
値が低い方から20% → 高い方から20% このように変換すればOKです。

もう一つは、グラフの斜線が「0 からいくつかまで」の範囲になっていないということ。
標準正規分布表から分かることは、z=0から特定の値までの面積(確率)の値でしたね。
これはどのように解決すればよいのでしょうか…
これは「全体 ー 部分」の考え方で解決できます。
標準正規分布において、z=0以上の部分の面積は0.50(確率は50%)
このことを利用すると…

Z が□ 以上の領域(青い部分)が20%であるということは、
z が0から□ までの領域(赤い部分)が30%ということ。
「z が0から□ までが30%」と変換してあげることで標準正規分布が使えます。
今回は確率が0.30に最も近いz値を、表から探しましょう。

z = 0.84 の時の値、0.2995 が0.30に最も近いです。
つまり、□に入る値は0.84
はじめにグラフを左右反転させたことも考慮すると、
値が低い方から20%の中に入るのは、-0.84以下であるとわかります。
z値が負の数の場合の処理
グラフの斜線が「0 からいくつかまで」の範囲になっていない場合の処理
これら二つは非常に大切なので、ここで覚えてください。
演習

※標準確率分布表は以下のものを使います。

確率を求める場合
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
P( -1.0 ≦ Z ≦ -0.50 ) について求めなさい。

標準正規分布表の値が活用できるように処理を行います。
z が0.50, 1.00 の値を表から探しましょう。
よって、
値を求める場合
確率変数Z が正規分布N( 0, 1 )に従うとき
値が低い方から40%の中に入るのは、いくつ以下の数値かもとめなさい。

値が低い方から40%に入るz値 を求めるためには
値が高い方から40%に入るz値 を考えればオーケーです。
□以上が40%であるならば、
0から□までは10%
表の数値が0.10 に最も近いz を表から探します。
zが0.25の時の数値 0.0987 が、0.10 に最も近いです。
つまり、値が高い方から40%の中に入るz値は0.25以上ということ。
よって、値が低い方から40%の中に入るz値は-0.25以下と分かります。
標準正規分布表の活用はここから先の単元でも頻出なので、
スムーズに解けるまで繰り返し練習をしましょう。
まとめ
正規分布の導入として、
- 正規分布とはどのようなものか
- 正規分布のグラフの読み取り方
- 標準正規分布表の活用方法
これらについて解説を行いました。
正規分布表の活用をスムーズにこなすためには、問題演習の量をこなすことが重要です。
まずは表の読み取り方を覚えて、
さらにそれがスムーズになるように繰り返し問題を解きましょう!
次回は「第6章|正規分布~標準化の使い方~」です。
「平均が0, 分散が1 ではない正規分布」を標準化して、標準正規分布で扱う方法を学びます。
◀ 第5-1章|正規分布~正規分布って何?~|グラフと平均・分散、標準正規分布を理解しよう!
▶ 第6章|正規分布~標準化の使い方~
▶︎高校数学B「統計的な推測」シリーズ目録・過去問解説のまとめはこちら!
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