高校数学B「統計的な推測」標本平均の期待値・分散の公式を証明|やさしく解説



標本平均の期待値 = 母平均
標本平均の分散 = 母分散 ÷ 標本の大きさ
どちらも高校数学B「統計的な推測」で登場する重要な公式ですね。
この記事では、
統計的な推測 「母集団と標本」の単元で重要なこれらの公式の導出法を解説します。
なぜこれらの公式が成り立つのか、どのように証明すればよいのか、
学習の上でのもやもやポイントを解消しましょう!
※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。
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母集団・標本とは

公式の証明に入る前に、
まずは重要語句の確認から始めましょう!
母集団とは
母集団とは、調べたい対象の全体を指します。
具体例
全国の高校3年生の数学のテストについて調べたいとき:
全国の高校3年生全員の数学のテストの点数が母集団になります。
標本とは
標本とは、母集団から取り出した一部の集まりのことです。
標本の取り方は無数にあります。
例えばどのような取り方があるのか、具体例を通してチェックしましょう。
具体例
- 自分のクラス全員の数学テストの点数
- 全国からランダムに選んだ100人の点数
- 全国成績トップ100の高校生の点数
他にもいろいろな取り方が考えられますね。
標本は母集団の特徴を代表するように選ぶことが理想です。
標本を無作為に選ぶことで、母集団の性質を正しく推定できます。
標本平均とは

標本平均とは、標本の各データの平均値のことです。
標本平均は、母集団の平均を推定するための代表値として使われます。
標本平均をしっかりと理解することがこの記事の第一ステップです。
具体例を踏まえて詳しく見ていきましょう。
具体例
母集団(全国の高校3年生の数学テスト)から5人の生徒を無作為に選んだとすると…
選ばれた生徒の点数が {60, 70, 70, 70, 80} だった場合
この標本の平均を計算すると:

この70点が、この標本の 標本平均 です。
別の標本を選んだ場合は平均が変わります。
選ばれた生徒の点数が {50, 60, 65, 80, 85} だった場合

このように、同じルールで標本を選んだとしても
標本平均は毎回同じとは限らない
これが超重要ポイントです!
毎回同じとは限らない。
とはいえ、標本平均の取りうる値にはある程度の規則性があります。
母平均・母標準偏差が分かっている場合
標本平均の期待値と分散は公式で求めることができます。
この公式の証明が本記事のメインステップです。
母集団と標本について詳しく学びたい方はこちらの記事をチェックしてください!
標本平均の期待値・標準偏差の公式

標本平均の期待値・標準偏差の公式は次の通りです。
期待値の公式

- n:標本の大きさ
- μ:母平均
分散の公式

分散の公式から標準偏差の公式も導出できますね。

- n:標本の大きさ
- σ:母標準偏差
これらの公式について証明を見ていきましょう!
証明のために必要な公式

標本平均の期待値・標準偏差の公式を導出するためには、
いくつかの公式・考え方が必須です。
期待値・分散の加法定理
確率変数の変換
本題に入る前にチェックしましょう。
期待値・分散の加法定理
期待値の加法定理

分散の加法定理(独立な場合)

これらの性質を利用すると、二項定理の期待値・分散の公式の導出も可能です。
気になる方はこちらの記事もチェックしてください。
確率変数の変換|期待値・分散を求める公式
確率変数Xに対して、Y = aX + b と変換したとき、Y の期待値と分散は以下のように求められます。

この変換公式がどのように導かれるのか気になる方は、
以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
標本平均の期待値 公式の証明


母集団から無作為にn個の標本を抽出して
それらの平均、つまり標本平均を表します。

標本平均の期待値を求めたいので、素直にそれを式で表しましょう。
これが取る値を求めることができればクリア。
ここで、二つの公式します。

ひとつめは期待値の加法定理。
Y = aX + b のとき

もうひとつは確率変数の変換。
これらを用いると…

これによって求められる式

こちらは、
標本平均の期待値は、標本平均を何度も出してその平均を取ることで求める
という考え方と一致した形をしていますね!
次にE[Xi] について考えます。
Xi とは母集団の中から取り出した一つの確率変数ですね。
E[Xi] とは母集団の中から取り出した一つのものの期待値です。
これは母平均μ と一致します。

つまり

したがって

これで標本平均の期待値は母平均に等しいことが確認できました。
Xi とは何なのかを把握することが一番の難所。
これは母集団から無作為に取り出した1つのもの(の確率変数)、と見ましょう。
標本平均の標準偏差 公式の証明

期待値の証明と同様に、標本平均の定義から始めます。

ここで、二つの公式します。

ひとつめは分散の加法定理。
標本の各Xi は互いに独立なので、分散の加法定理を用いることができます。
Y = aX + b のとき

もうひとつは確率変数の変換。
これらを用いると…

分母がn² となっている点に注意してください!
V[Xi] について考えます。
先ほどの期待値の証明と同様の考え方で
これは母分散σ² と一致します。

つまり

したがって

これで証明完了!
標本平均の分散は母分散を標本サイズで割った値になることが分かります。
まとめ
期待値・分散の加法定理の性質と確率変数の変換を用いて、
標本平均の期待値と分散の公式を導出しました。
標本平均の期待値と分散の公式を導出自体が今まで習ったいろいろな公式の活用となっているので、
自分で一から証明ができるように繰り返し復習をしてください!
公式の活用も忘れずに演習をして、高校の定期テスト・共通テストに向けて頑張りましょう!
▶︎ 高校数学B「統計的な推測」シリーズ全体の目録はこちら!
共通テストの過去問解説もこちらで行っています。


