高校数学B「統計的な推測」 偏差値の求め方と正規分布との関係 についてやさしく解説

模試の結果が返ってくると「数学の偏差値60超えた!」と喜ぶことがありますよね。
逆に「英語は偏差値50切った…」と落ち込むことも…
自分の志望校の偏差値を目指して受験勉強を頑張っている!そんな風に指標に見ることもありますね。
模試が返ってきて気になるポイントは点数よりも偏差値!という生徒をよく見かけます。
塾でも偏差値を○○上げよう!など提案されることがあると思いますが、この偏差値ってどういうものなのか知っていますか?
この記事では偏差値とは何なのか、正規分布との関係について解説を行います。
- 「偏差値って何?」
- 「正規分布との関係は?」
- 「偏差値10up って何人抜けばいいの?」
偏差値についてよく理解して、勉強のモチベーションアップにつなげましょう!
※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。
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偏差値って何?

偏差値とは、自分の得点が全体の中でどの位置にあるのかを示す指標です。
単なる点数ではなく、平均点からどれだけ離れているかを、標準偏差というものを使って数値化したものです。
テストの難易度が高くても低くても、偏差値なら「全体との相対的な位置」がわかります。
つまりどんな模試でも常に、平均が50・標準偏差が10になるように調整されていることが特徴です。
偏差値の計算式
実際に偏差値は次の式で求められます。

ここで、
- x:自分の点数
- μ:平均点
- σ:標準偏差(点数のばらつき)
この式の中のx – μ / σ は、標準化(z値) とまったく同じです。
つまり、偏差値はz値を10倍して50を足したものなのです。
偏差値と正規分布の関係
偏差値は正規分布に基づいている、と思っている方がいるかもしれませんがこれは誤りです。
偏差値は、正規分布に基づいて算出されているのではなく、試験結果の平均と標準偏差を用いた標準化を利用して出しているスコアです。
しかし、偏差値と正規分布は全くの無関係かと問われるとそれも難しいところです。
試験の受験人数が多い場合にはその分布は正規分布に近い形を取ります。
つまり、受験人数が多い試験については偏差値と正規分布は関連を持ちうる、ということです。
このことを利用すると、偏差値の値でその受験者が上位何%に相当するかを推測することができます。
| z値 | 偏差値 | おおよその上位割合 |
|---|---|---|
| -2 | 30 | 下位約2% |
| -1 | 40 | 下位約16% |
| 0 | 50 | ちょうど真ん中(50%) |
| +1 | 60 | 上位約16% |
| +2 | 70 | 上位約2% |
例えば表に載ってない「偏差値65」も、標準化されたz値が約+1.5だから全体の上位7%前後、というように推測することができます。
このように、偏差値と正規分布の関係から順位を推定できることを覚えておきましょう。
偏差値を5上げるためには何点必要?
仮にあるテストが正規分布に従い、平均点が60点、標準偏差が10点の場合を考えます。

このとき偏差値を50から55に上げるには何点必要なのでしょうか。
偏差値が50 のとき x = 60
偏差値が55のとき x = 65
よってこの設定では、あと5点アップさせる必要があります。
また、偏差値を60から65に上げるために必要な加点も、同様に5点です。
偏差値を上げるために見るべき数値は標準偏差です。
偏差値を1上げるには標準偏差の1/10 の点数アップさせる必要があります。
ということは、偏差値を5上げるには標準偏差の半分の点数アップさせる必要があるということですね。
偏差値のメリット
たとえば、ある模試を受けて国語は平均点が60点、数学は平均点が40点だったとします。
あなたがどちらも70点を取った場合、どちらの科目の方が優秀な成績だったのでしょうか。
そもそも成績の優秀さをどう比較すればよいのでしょうか。
こんな時に役に立つのが偏差値です!
ここで、試験に関する追加情報を見てみましょう。
- 国語の標準偏差:5点
- 数学の標準偏差:30点
各科目について、平均点と標準偏差を用いて偏差値を導出してみましょう
- 国語:偏差値70
- 数学:偏差値60
偏差値を比較すると国語の方がよい成績である、と判断することができますね。
このように偏差値を用いることで、異なる科目でも共通の物差しで成績を比較できるようになります。
偏差値のデメリット
偏差値は便利な指標ですが、万能ではありません。いくつかの注意点もあります。
集団が異なると比較できない
偏差値はあくまで同じ集団の中での位置を示すものです。
集団の構成員が異なると、その数値の意味も大きく変わります。
よく言われるものが学校の成績と中学受験の偏差値ですね。
中学受験の模試は、基本的に中学受験を考えている人が受けるものです。
小学生の中でも特に勉強をしている生徒が、模試を受けるわけですね。
よってその模試で出る偏差値は、学校の成績と比べると低いものになってしまいます。
学校ではよい成績なのになんで模試の偏差値は低いんだろう…
そんな疑問の答えはの一つは「集団の構成員が異なるから」ということです。
極端な分布には向かない
受験者が少ない、または得点が極端に偏っている場合は偏差値が機能しにくくなります。
模試の結果が正規分布に近い形をとっているだろうという前提が崩れてしまうためです。
偏差値はあくまで「現在地を知るための目安」。
伸び悩んだときこそ、平均点や標準偏差などデータの背景を見て、冷静に分析することが大切です。
まとめ
偏差値の仕組みと求め方。
偏差値と正規分布との関係。
そして偏差値のメリット・デメリットについて解説を行いました。
偏差値と標準偏差が深くかかわっていましたね。
今度試験結果が返ってきたら、順位や偏差値だけでなく標準偏差もチェックして、あと何点上がれば偏差値〇〇だったのか~と読めるようにしましょう!
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