[高校数学B] 二項分布の期待値・分散・標準偏差の公式の証明|統計的な推測

高校数学B「統計的な推測」では、二項分布の期待値や分散の公式をよく使います。

このコラムでは、これらの公式がなぜ成り立つのかについてフォーカスします。

二項分布の公式の導出方法を学習することで、
高校数学B「統計的な推測」への理解を深めましょう!

ベルヌーイ分布・二項分布ってなに?(確認)

ベルヌーイ分布とは?

ベルヌーイ分布は、成功か失敗かの1回の試行だけに注目した確率分布です。

  • コインを1回投げる
  • 箱から球を1回だけ引く

二項分布とは?

二項分布は、同じ確率で繰り返される試行をn回行ったとき、「成功した回数」が従う確率分布です。

  • コインを10回投げたとき、表が出る回数
  • 箱から球を5回引いたとき、赤球を引く回数

ベルヌーイ分布と二項分布の関係

同じ確率で繰り返される試行をベルヌーイ試行といいます。

  • この試行を1回行った結果が従う分布がベルヌーイ分布
  • この試行をn回行った結果が従う分布が二項分布

つまり、二項分布のうち特別な分布(試行回数が1回)がベルヌーイ分布です。

二項分布の考え方・問題の解き方を確認したい方はこちらの記事をチェックしてください。

高校数学B「統計的な推測」第4章 二項分布・ベルヌーイ分布はどう使う?|確率分布と公式

ベルヌーイ分布の公式の証明

まずはベルヌーイ分布における期待値・分散について公式を導出します。

ある試行が成功する確率をp、失敗する確率を(1-p)とします。

確率変数 X を「成功なら1、失敗なら0」とします。

確率分布を表にまとめる

E[X]、E[X²]を計算する

期待値・分散を求める

この手順で計算を行います。

期待値・分散の求め方があいまいな方は、以下の記事で復習をしてください。

この時の確率分布を表にまとめると…

X01合計
P1 – pp1

表を参考にして、E[X]、E[X²]を計算すると…

E[X]=0×(1−p)+1×pE[X]=0 \times(1-p)+1 \times p

=p=p

E[X2]=02×(1−p)+12×pE[X^2]=0^2 \times(1-p)+1^2 \times p

=p=p

よって

E[X]=pE[X]=p

V[X]=E[X2]−(E[X])2V[X]=E[X^2]-(E[X])^2

=p−p2=p-p^2

=p(1−p)=p(1-p)

よって期待値は pp 、分散は p(1−p)p(1-p) と分かります。

期待値と分散の「加法性」について

次に確認したいのが、期待値と分散の加法性についてです。

こちらは今回は証明無しで用います。

期待値の加法性(常に成立)

期待値には常に加法性が成り立ちます。

E[X+Y]=E[X]+E[Y]E[X+Y]=E[X]+E[Y]

それぞれの試行が独立かどうかに関係なく常に成り立ちます。

分散の場合(独立なときのみ成立)

分散は、それぞれの試行が独立な場合のみ加法性が成り立ちます。

V[X+Y]=V[X]+V[Y]V[X+Y]=V[X]+V[Y]

(それぞれの試行が独立でない場合は、共分散が関与します。)

V[X+Y]=V[X]+V[Y]+2×Cov(X,Y)V[X+Y]=V[X]+V[Y]+2 \times Cov(X,Y)

二項分布の期待値・分散・標準偏差を導出

いよいよ二項分布の公式の証明です。

ここまでの確認

確率変数Xがベルヌーイ分布に従い、試行が成功する確率をpとすると
期待値は pp 、分散は p(1−p)p(1-p) である。

期待値には常に加法性が成り立つ。
E[X+Y]=E[X]+E[Y]E[X+Y]=E[X]+E[Y]

分散は、それぞれの試行が独立な場合に加法性が成り立つ。
V[X+Y]=V[X]+V[Y]V[X+Y]=V[X]+V[Y]

ここまでに確認したこれらの考え方を用いて、
二項分布の期待値・分散・標準偏差の公式を導出します。

二項分布の公式の証明

成功する確率を p 、失敗する確率を 1 – p としてn回だけ試行を行うとき、
成功する回数を確率変数XXとします。

n回目の試行における確率変数をXnX_n (成功なら1、失敗なら0)とおいて考えます。

このとき、求めたい期待値・分散は

E[X]=E[X1+X2+X3+…+Xn]E[X]=E[X_1 +X_2 +X_3 + … +X_n]

V[X]=V[X1+X2+X3+…+Xn]V[X]=V[X_1 +X_2 +X_3 + … +X_n]

となります。

試行同士の関係について考えましょう。

ある回の試行の結果は別の回の結果に関与しない。

よって、各試行はそれぞれ独立です。

それぞれの試行は独立であることから、期待値・分散について考えると、

二項分布の期待値の公式

E[X]=E[X1+X2+X3+…+Xn]E[X]=E[X_1 +X_2 +X_3 + … +X_n]

=E[X1]+E[X2]+E[X3]+…+E[Xn]=E[X_1]+E[X_2]+E[X_3]+…+E[X_n]

=p+p+p+…+p=p+p+p+…+p

=np=np

二項分布の分散・標準偏差の公式

V[X]=V[X1+X2+X3+…+Xn]V[X]=V[X_1 +X_2 +X_3 + … +X_n]

=V[X1]+V[X2]+V[X3]+…+V[Xn]=V[X_1]+V[X_2]+V[X_3]+…+V[X_n]

=p(1−p)+p(1−p)+p(1−p)+…+p(1−p)=p(1-p)+p(1-p)+p(1-p)+…+p(1-p)

=np(1−p)=np(1-p)

σ=V[X]σ=\sqrt{V[X]}

=np(1−p)=\sqrt{np(1-p)}

これで証明完了です!

改めて公式を整理すると、

E[X]=npE[X]=np

V[X]=np(1−p)V[X]=np(1-p)

σ=np(1−p)σ=\sqrt{np(1-p)}

q=1−pq=1-p として公式に当てはめると、

E[X]=npE[X]=np

V[X]=npqV[X]=npq

σ=npqσ=\sqrt{npq}

どちらの形も覚えておきましょう。

まとめ

二項分布の期待値・分散の公式は、

  • 1回の試行(ベルヌーイ分布)の性質
  • n回繰り返すという加法性

を組み合わせることで簡単に導くことができます。

公式の活用や問題演習だけでなく、
なぜその公式が成り立つのかについても確認してみてください!

▶︎ 高校数学B「統計的な推測」シリーズ全体の目録はこちら!

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