高校数学B「統計的な推測」 線形変換の期待値・分散の変換公式の証明 やさしく解説

統計的な推測は、高校数学Bの中でも、共通テストで得点を伸ばすうえで非常に重要な単元です。
このページでは、「線形変換の期待値・分散の変換公式」の証明方法を解説します。
期待値・分散の公式を自力で証明できるようになることで、統計的な推測単元の理解度アップにつなげましょう!
※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。
線形変換 aX+b について
「線形変換する」「aX + b に変換する」とは、元の確率変数Xに定数aをかけて、さらに定数bを足した新しい確率変数Y = aX + bを作ることを意味します。
これは、元の出来事(たとえば「赤玉の数」や「表の枚数」など)に対して、賞金や得点といった「現実の数量」を割り当てるときによく使われます。たとえば「赤玉1個につき100円もらえる」なら、Y = 100X という式で金額を表せます。
このような変換によって、期待値や分散が簡単に計算できる公式が成り立つため、統計的な処理が非常に便利になります。
期待値・分散を求める公式
確率変数Xに対して、Y = aX + b と変換したとき、Y の期待値と分散は以下のように求められます。
- 期待値: E(Y) = aE(X) + b
- 分散: V(Y) = a²V(X)
これでYに対する期待値・分散を求めることができます。
以下では期待値・分散の公式について証明してみましょう。
期待値: E(Y) = aE(X) + b の証明
期待値: E(Y) = aE(X) + b の証明で重要な式をまず二つ紹介します。

① は期待値の定義ですね。
左辺から右辺、右辺から左辺への変換を一度ずつ行うので、この式については要チェック。
② は各パターンの確率を足し合わせたら1になる(100%になる)という意味の式です。こちらも公式の証明で用います。
では、さっそく期待値の公式の証明を見ていきましょう。

最後の行への変換が少し難しいですね。
ここは先に説明した①, ② を活用しています。
このようにして、期待値: E(Y) = aE(X) + b の公式を導くことができます。
分散: V(Y) = a²V(X) の証明
続いて分散: V(Y) = a²V(X) の証明です。
こちらも先にいくつか式を紹介しておきます。

③は分散の定義です。
期待値も同様ですが、しっかり定義を覚えておくと今回のように式を変換するために活用できますね。
④ は先ほど求めた、期待値を求める式です。
この式のおかげで今回の証明がかなり簡単になります。
ではここから分散の式の証明です!

二行目の式は③を左辺→右辺へ、最後の行は右辺→左辺への変換を行っています。
このようにして、分散: V(Y) = a²V(X) の公式を導くことができます。
まとめ
線形変換の期待値・分散の変換公式について証明を行いました。
期待値、分散どちらの証明も意外とボリュームは少ないですよね。
それぞれの証明で活用した式をしっかりと覚えて、続いて各証明を地切で書けるようにしましょう。
共通テスト・大学入試 数学の難問を解く過程で、これらの公式の証明の発想を活用する可能性もあるので、今回扱った期待値・分散の公式は今のうちに完ぺきにおさえておきましょう。
線形変換の期待値・分散の変換公式の確認テスト|自力で証明できる?
以下のポイントが自力で説明・再現できれば、この章はほぼマスターです!
- 期待値・分散の公式が書ける
- 期待値・分散の公式の証明に用いた重要な式を覚えている
- 期待値・分散の公式を自力で証明できる
「ちょっと怪しいかも…」と思った箇所があれば、上に戻って再チェックしてみましょう!
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