高校数学B「統計的な推測」 第2章:期待値と分散・標準偏差をやさしく解説

統計的な推測の中でも、期待値と分散・標準偏差共通テストで高得点を狙うために欠かせない単元です。

このページでは、「期待値」や「分散・標準偏差」の基本を、例題を通してわかりやすく解説します。

  • 「期待値や分散・標準偏差ってどうやって定義するの?」
  • 「分散って結局何?」
  • 「それぞれどうやって計算するの?」

という疑問を持つ高校生・受験生の方は、ぜひここで基礎を固めて、共通テスト数学のスコアアップにつなげましょう!

※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。

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期待値、分散、標準偏差とは簡単に

まずはそれぞれの用語について一言で簡単に。

  • 期待値:起こりうる値の「平均」
  • 分散:平均からの「ブレの大きさ」
  • 標準偏差:ブレの大きさを元の単位で表したもの(分散の平方根)

期待値はなんとなくわかると思いますが、分散・標準偏差は初見ではあんまりぴんと来ないですね。。

分散のイメージを深めたい方はこちらのコラムを読んでください。

期待値、分散、標準偏差の計算方法

期待値、分散、標準偏差は用語のざっくりとした理解だけでなく、実際に計算できるかどうかが重要です。

それぞれどのように求めればよいのか、公式を一度見ておきましょう。

ここもやはり初見ではかなり難しいところなので、軽く読み飛ばすだけでオーケーです。

確率変数がとる値の平均=期待値

期待値(Expected Value)は、確率変数Xがとる値と、それが起こる確率をかけ合わせた重み付きの平均です。

分散=「ズレ」の大きさを平均したもの

分散(Variance)は、確率変数がその期待値(平均)からどのくらい離れているかを数値で表す指標です。

一つ一つの値が、平均からどれだけズレているかを2乗して、確率で重みづけして平均をとります。

これが分散の定義の式。
小さいほどブレが少なく、大きいほどブレが大きいという解釈になります。

実際に分散を計算する際は、この式を用いることが多いです。
どちらも覚えておきましょう。

なぜこの計算で分散が求められるのか気になる方は、次の記事をチェックしてください!

標準偏差=分散の平方根

分散では「ズレの2乗の平均」を求めるため、単位も2乗されてしまいます。 (たとえば cm のデータなら、分散の単位は cm²)

そこで、その平方根を取ることで、元の単位に戻してばらつきを評価するのが標準偏差(standard deviation)です。

共通テストや実生活では、分散よりも標準偏差の方がイメージしやすく、比較にもよく使われます。


公式が入ってくるとやはり一気に難しくなりますね。特に分散は意味自体も難しいし、公式も複雑に見えるし… となかなか厳しいところです。

数学全般に言えることですが、一度にすべてを理解しようとしないことが学習を進めるコツです。

いったん軽く読んで、続く具体例で計算練習をして、とらえ方を整理して。

先の単元でまた新たな気付きを得て、理解を深めていきましょう。

分散の式の理由・その成り立ちについて興味がある方は以下の記事をチェック!
なんで分散は2乗する必要があるの? などを解説しています。

ここはとらえ方が難しいですが、期待値・分散・標準偏差それぞれについて計算して求められる状態までは必ずクリアしておきましょう。

具体例から学ぶ

期待値・分散について実際に具体例で求めてみましょう!

分散はここでは定義の式ではなく、E[x²] – (E[X])² を用いて求めます。

以下の手順で進めます:

  1. 確率分布をまとめる
  2. E[X], E[x²], V[X], σ を計算
  3. 期待値、分散、標準偏差を求める

確率分布のまとめ方が不安な方は、第1章を先に見直しましょう。

例1:サイコロ

サイコロを一つ投げた時の期待値、分散、標準偏差について。

X = サイコロの出目(1〜6)

まずは確率分布をまとめる。

X123456
P1/61/61/61/61/61/61

次はE[X], E[x²], V[X], σ について計算。

よって
期待値は7/2
分散は35/12,
標準偏差は√(35/12)


例2:コイン2枚(表を1, 裏を0)

X = 出た表の枚数 → {0, 1, 2}

確率分布をまとめる。

X012
P1/41/21/41

次はE[X], E[x²], V[X], σ について計算すると…

よって
期待値は1
分散は1/2
標準偏差は√(1/2)


例3:3人でじゃんけん(勝つ人数をXとする)

X = 0, 1, 2 があり得る(全員あいこ/1人勝ち/2人勝ち)

X012
P9/279/279/271

よって
期待値は1
分散は2/3
標準偏差は√(2/3)


  1. 確率分布をまとめる
  2. E[X], E[x²], V[X], σ を計算
  3. 期待値、分散、標準偏差を求める

期待値、分散、標準偏差を求めるための手順をここで会得しましょう。
特に、確率分布をまとめることを毎回行いましょう!

演習

コインを3枚同時に投げる。

この時、表が出る枚数について、期待値、分散、標準偏差を求めよ。
それぞれのコインについて表・裏が出る確率はどちらも1/2とする。

解法

表が出る枚数を確率変数Xとする。

まずは確率分布をまとめる。

X0123
P1/83/83/81/81

次にE[X], E[x²], V[X], σ について計算

よって
期待値は3/2
分散は3/4
標準偏差は√3/2


演習においても例題と同様に、手順を守ってスムーズに解きましょう。

ちなみに、今回のようなコインの問題は二項分布を学ぶとさらに簡単に解くことができます。

ここでは汎用性の高い方法をまず会得して、そのうえでこの先、個別の解法を覚えていきましょう。

まずは汎用性の高い解法。それが分かったうえでの専門的な解法をつかんでいくことが、林個別指導塾流の数学の勉強法です。

まとめ

期待値、分散、標準偏差についてそれぞれの意味と求め方を、演習も交えてチェックしました!

それぞれの用語のイメージは必ずつかんでおきましょう。

期待値、分散、標準偏差は用語のイメージだけでなくそれぞれをきちんと求められるかの確認。

計算過程で頻出の「確率分布をまとめる」手順に不安がある方は必ず復習しておきましょう。

余裕のある方は分散のコラムや、分散の計算式の証明を見ておいてください。

次回は「aX + b の変換と期待値・分散の変化」について解説します!

期待値と分散・標準偏差の確認テスト|この章の理解はバッチリ?

以下のポイントが自力で説明・再現できれば、この章はほぼマスターです!

  • 期待値・分散・標準偏差とは何か
  • 期待値・分散・標準偏差の公式を説明できるか
  • 確率分布をまとめて、そこから期待値・分散・標準偏差が求められるか

「ちょっと怪しいかも…」と思った箇所があれば、上に戻って再チェックしてみましょう!


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