高校数学B 分散が100ってどんな感じ? 〜標準偏差・正規分布との関係〜
「分散とは何か」「分散が大きい・小さいとはどういう意味か」「標準偏差や正規分布とどう関係するのか」——そんな疑問を持った高校生や受験生のために、この記事では「分散が100」という具体例をもとに、統計的な指標の読み方を直感的に解説します。
分散は「データのばらつき」を表す重要な指標ですが、「分散が100」と聞いてそれが何を表すのかイメージできる人は少ないかもしれません。今回は、「分散の大きさをどうとらえるか」について、具体例に触れながら直感的に理解していきましょう。
※この記事は、林個別指導塾が運営する学習ブログです。
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高校の定期試験の結果で考える
高校の定期試験を例に考えましょう。
あるクラス(生徒30人)の数学の試験において、100点満点中平均点が70点、分散が100だったとします。
このとき、標準偏差は √100 = 10 です。つまり、生徒の点数は平均から±10点ほどの範囲の中にあることが多い、という意味になります。
- 多くの生徒(約68%)が 60〜80点 に分布
- さらに広く見れば(約95%)が 50〜90点 に収まる
これは正規分布(左右対称で山型の分布)を仮定したときの目安です。
クラスのスコアは正規分布?
現実のデータは、必ずしもきれいな正規分布になるとは限りません。得点が極端に高い人や低い人がいたり、全体の人数が少なかったりすると、分布は左右に偏った形になりやすくなります。今回のように30人程度のクラスでは、分布がゆがむことも多く、正規分布とは言いにくい状況です。
それでも、分散という指標は、分布の形に関係なく「データのばらつきの大きさ」を定量的に把握するために有効です。たとえ正規分布でなくても、平均からどのくらいの範囲にデータが集まっているかを見積もるおおよその目安として、標準偏差は役立ちます。
学年のスコアは正規分布?
仮に、同じ学年に10クラス(計300人)の生徒がいるとすると、どうでしょうか? このくらいの人数になると、個々の得点のばらつきがあっても、全体の分布はなめらかで左右対称な形に近づいていきます。
これは「中心極限定理」という考え方に基づいています。中心極限定理とは、「もとのデータがどんな分布でも、十分な数の標本(ここでは生徒の得点)が集まれば、その平均の分布は正規分布に近づく」という統計の基本的な原理です。
そのため、一般的に90〜100人以上のデータがあれば、正規分布としてみなしてもよいとされることが多いです。学年全体のスコアのように人数が多い場合は、正規分布を前提とした分析や比較がしやすくなります。
まとめ
分散が100ということは、標準偏差が10であり、多くのスコアが平均の±10の範囲に収まると予想できます。たとえデータが正規分布でなくても、標準偏差を目安にばらつきを見積もることで、おおまかな把握が可能になります。
また、サンプル数が増えると分布はより正規分布に近づき、分析の信頼性も高まります。
分散はばらつきのこと。ここからもう一歩理解を深めて、今後の学習に活かしてください。
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